【長期インターンで真庭を豊かに】学生の就職の選択肢の1つに真庭が入る状況をつくるには?

【長期インターンで真庭を豊かに】学生の就職の選択肢の1つに真庭が入る状況をつくるには?

小野崎邦彦

2022年10月11日

東京でお仕事をされていた中で地方で頑張る人に惹かれて岡山県真庭市への移住を決意し、公務員としてご活躍されている平澤洋輔さん。

真庭市に学生長期インターンの文化を浸透させることを通して、学生の就職先に真庭市内の企業が選択肢に入る状況をつくりたいという想いが印象的でした。

地域活性化に興味がある、地域での長期インターンが気になっている。そんな方に是非読んでいただきたいです。

平澤洋輔(ひらさわ・ようすけ)1982年生まれ。神奈川県藤沢市出身。

広告プロダクションを経て2012年電通へ転職。JAグループを担当し、国産農畜産物の消費拡大PRなどを手掛ける。マーケティングスキルを地方で活かしたいと、2017年に岡山県に移住。現在は真庭市で公務員として勤務する。

地方で頑張る人に惹かれて真庭に移住

―簡単に、市役所職員としてのお仕事に関してお聞きしてもいいですか。

産業の振興というの大きな取り組みの中で、担当する事業としては、東京で働いているビジネスマンに真庭に関わってもらい、将来的に移住してもらうことが一番のミッションですね。

―移住者を増やす仕事という認識で合っていますか。

単純に自分の理想の暮らしがしたいという移住者というよりかはマーケティングや事業開発、デザインなど強みを持っている方に真庭でそれを発揮してもらうみたいな文脈の方が近いですね。

いわゆる仕事を通じて真庭と外との人材交流を活性化させるみたいな話ですかね。

― 平澤さんも真庭への移住者だと伺いましたが、ご自身はどのような経緯で移住されたんですか。

神奈川で生まれ育って、東京で仕事をしている中で、電通時代にJAグループを担当していたので、第一次産業を通じて地方と関わるきっかけっていうのができました。

そこで(地方で)めちゃくちゃ頑張ってる人とかすごいかっこいい取り組みをしてる方々がいて、そういう人と一緒に仕事をしたいという気持ちが強かったですね。

そんな中でいろいろな縁があって真庭に住むことになりました。

ーその中でどうして公務員というお仕事を選ばれたのですか。

何か新しい取り組みに挑戦する人たちが民間企業には地方でもそれなりにいるのですが、そこに共感して支援する人って行政側にどれぐらいいるんだろうなみたいなことから徐々に現実的に考えていきました。

あとは単純に「公務員になってみようよ」って誘われたときに自分の人生の選択肢になかったのですごい面白そうだなと思ったことから公務員になりました。

◎オンラインでのインタビュー取材でした!

若者の就職の選択肢に真庭が入るためのきっかけを

―真庭市として学生の長期インターンを導入しようと決断した背景について教えていただいても良いですか。

地方の未来を考えた時にやっぱり若者がいない場所に人は集まらなくなるし、カルチャーの観点からももなかなかしんどくなると思っていて。

じゃあどうしたら若者が真庭に来る状態が作れるのかとか、(高校を)卒業した後に真庭に帰ってくるのか、あるいは帰ってこなくても「真庭でいい思い出があったよね」っていう状態を作れるのかを考えたときに大学生というのが1つキーワードになったなというのがあります。

大学生が真庭にインターンに来る、あるいは真庭出身の子が高校を卒業し、インターンで真庭に戻ってくるっていう機会があれば、就職の選択肢に真庭が入る状況をまず作れるんじゃないかなと。

今までも小学校、中学校、高校と地元の企業が接触する機会はあると思うんですけど、やっぱり子どもの頃に見たものと、ある程度大人になってから見るものだと見え方が変わってくるので、大人になってから見たものの方が自分の印象が強いかなと思います。そういう機会を大学生のうちに作るっていうのが一つ大きなポイントかなと。

もう一つは市内の企業さんにお話を聞いたときに、大学生の採用が欲しいっていう企業がいくつかあったことも大きい。

とはいえ高いお金を払って就職サイトに出したところで、真庭の企業は認知度や資金的な面からも、いわゆるレッドオーシャンの中で戦うのでなかなか(大学生を採用したいとは思いつつ)採用できないんですよねっていう話を聞いたりとか。

それに対する打ち手の一つとして、大学生のインターンっていうのは可能性としてあるんじゃないかと。

あとはインターンの認識がまだやっぱ都市と地方では差があるのかなあと思っています。

地方だとインターンは職場体験として捉えられてしまうので、長くても1週間、大体1日2日で雰囲気を感じてお終いになっちゃうからどんな仕事をしてるかっていうのって表面的なことしかやっぱわからない。

そうなってしまうと本当にその仕事に就きたいかどうかって言われたときに、判断の材料がやっぱ少なすぎるんじゃないかなと。

判断の材料が少ないと多分憧れの方が強くなっちゃうので、こういうのをやりたいとかこういう場所に行きたいっていうので、どんどん地方から人が離れてしまうのではないかという仮説があります。

それであれば長期のインターンを通じて、1ヶ月なり3ヶ月なり企業と関わってくれたときに初めてもっと働きたいって思ったら真庭っていうのが就職の選択肢になるだろうし。

何かそういった「きっかけ」が作れたらいいんじゃないかなと思って今回の事業に取り組んでます。

蒜山高原にあるGREENable HIRUZENのパビリオン「風の葉」は隈研吾氏による設計。このGREENableブランド立ち上げやPRに携わる。

大学生の視点に触れられることが面白い

―実際に真庭市として大学生インターンを受け入れてみて感じていることはありますか。

みんなめちゃくちゃ優秀だなと思います(笑)。

―それはどういうところで感じているんですか。

主体性を持って取り組むっていうのがすごいありがたいなと思っています。

受け身で動くのではなくて、自ら「これを作ります」とか、「ここでこうした方がいいですよね」とか、「こういうイベントやったらいいと思います」っていうのをきちんと考えて言ってくれるので。

やっぱり僕ら大人になるにつれてやっぱりどっか守りに入っちゃうというか、攻めきれない部分もあったりするんですけど、ポジティブに反応してくれるっていうのはめちゃくちゃ刺激になります。

あとはやっぱ大学生ならではの視点っていうのを、実際に触れられるのは面白いなと思っています。

おじさんですから(笑)、大学生がどんなことを考えてるのかなんていうのは想像の域でしかないんですけど、やっぱりそれ(大学生の視点)ときちんと向き合うことで、わかることっていうのがあったりするので非常に面白いですね。

蒜山高原の草原 談笑する真庭市産業政策課インターン生と平澤さん

変わらないために変わり続ける

ー地方の中小企業にとって学生長期インターンを受け入れることにどのような意味があると思いますか。

終身雇用の時代が終わり、HR市場が活性化して、採用の形も多様化してきているじゃないですか。

これまでのやり方ではミスマッチが起きたり、そもそもマッチングが難しくなってきているからこそ、これまでとは異なるやり方を積極的に試してもらいたいです。

都市部の企業でも、パーパス経営やデザイン経営など、パーパスやビジョンに共感する仲間や顧客とのつながりを大事にしています。そういったエッセンスを今回の事業のなかで大学生と会話することで「あれ、自分たちって何のために会社やってるんだっけ?」みたいなところまで気づいてくれたらめちゃめちゃいいかなと思います。

真庭で働いてみたいという人がもっと増えて欲しい

―10年後、20年後に真庭がどうなっていたいかという展望を教えてください。

真庭に骨をうずめるつもりで頑張りますみたいなことじゃなくても真庭で、あるいは真庭の企業で働いてみたいという人が、もっと増えたらいいんじゃないかなあと。

そのためには企業と若者を繋ぐ共感のポイントを企業側もつくる努力をしていかないと、やっぱり地方企業の採用活動は難しいかなとも思っています。

でも逆にそこをクリアしていって、人材の流動性をもっと高めて真庭に人が来てくれて、(その人たちにとって)活躍できるフィールドがみつかる場所になってくれたら嬉しいなと思っています。

草原博士に教えてもらった蒜山の草原(平澤さんより提供)

挑戦を受け入れられる土壌が真庭にはある。

―最後にこれから真庭で挑戦しようと思っている若い人に向けてメッセージをお願いします!

単純に想像してみることと実際にやってみるのはすごい差があります。

真庭に1日来て楽しかったっていう人と、真庭で1ヶ月住んで働いて楽しかったっていう人の「楽しかった」の重さってめちゃくちゃ違うじゃないですか。

挑戦を受け入れてくれる土壌が真庭にはあるので、少しでも興味を持っていただけたら、ぜひチャレンジをしてみてもらえたらいいなと思っています。

-平澤さん、インタビューへのご協力ありがとうございました。




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